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今から30ほど前、私は未経験者として介護の世界に入りました。介護に関する知識もほとんどなく、右往左往をしていた新人時代が今でも昨日のように思い出されます。
ある日、叔父が私にこう尋ねてきました。「どうだね、介護の仕事は?」私は叔父に疑問に思っていることを投げかけました「暴力行為のある利用者さんがいてね、職員は皆、その方と距離を置いているの。あなたも殴られないように気をつけなさい、危ないから。何であんな暴力を振るう人のお世話をしなくてはいけないのかしら。そんな話を先輩職員から聞いて、どうしたらいいか、わからなくなっちゃった」と。すると叔父は、「私はいつも仕事をしながら心がけていることがある。それは、罪を憎んで人を憎まずってこと。あなたも介護の仕事をしているなら、介護を必要としている人を護りなさい。その人も決して暴力を振るいたい訳ではないと思うよ。なぜ、そんな行動に出るのか、よく考えてごらん。憎むのはその人ではなく、そうさせている原因こそ罪なのではないかと思うよ」
叔父は弁護士です。法の下の平等、基本的人権の尊重の思いを誰よりも強く抱いています。「罪を憎んで人を憎まず」。その日以来、私は暴力行為があるといわれる利用者さんに笑顔で接してみることにしました。日々諦めずに接したところ、利用者さんも笑顔を返してくださるようになったのです。
皆さんは介護職として、どう利用者さんに向き合えばよいと考えますか。叔父の教えは「介護の基本」そのものだと思いました。
約一年続いた「独居生活」に終止符を打ち、この秋から息子家族(次男夫婦・孫)との三世代同居を始めることになりました。居住地であるK市では、市内に住宅を取得し、三世代で同居した場合(他、要件有)補助金制度があるという情報を入手し、早速、市役所の担当課に赴き、諸々手続きをしました。その折、職員から「お幸せですね」と声をかけられるも、書類を書きながら、今や三世代同居は当たり前ではないのだと実感しました。
先日、不動産屋から内装工事が終了した旨のお知らせと内見の案内が届きました。まだ何もない状態の箱物として存在する家が、新しい生活の舞台になるのかと思うと、大きな期待は当然のこと、小さな不安がひょっこりと顔を出しました。
この家で、これからどんなドラマが展開されるのだろう、プライバシーは保たれるだろうか、リロケーションダメージに陥らないだろうか、そんなことが脳裏をよぎりました。きっと、泣いたり、笑ったり、怒ったり、喧嘩をしたり、悲喜交々とした生活を日々積み重ねていくのかと感慨深くなります。いつの日か、私自身も施設入居の時を迎えます。入居に至る経緯の中に「次男夫婦と同居するも…」と書かれるのか否か、それは私と家族とのこれからの関係性が大きく影響するものと捉えています。家族一人ひとりの価値観を尊重し、時間をかけ、手間をかけながら、自然と家族の形が醸成していくこと、ここが自分の一番心地よい落ち着ける居場所(ホーム)となることを願う今日この頃です。
秋分の頃から立冬の頃までを「秋の夜長」と称します。私は特にこの時期、何となくアンニュイな気分になります。何も考えず、何をするでもなく、精神的にもネガティブになり、いつしか「孤独」に包まれ、無性に寂しい気持ちに包まれます。そんな時こそ一人の空間に身を置きながら、夜空に輝く満天の星を見上げ、遠く離れて暮らす愛しい人や、久しく会っていない大切な人と、過ごした時間を思い出します。
すると「一人ではない」「繋がっている」と思え、不思議とその場の空気が温かく、また気持ちも穏やかになり、幸せのベールに包まれているように感じます。逆に集団の中にいるから楽しい、幸せなのだと断言はできないのです。哲学者、三木清はその著書「人生論ノート」の中で、「孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の「間」にあるのである。孤独は「間」にあるものとして空間の如きものである」と記しています。一人だからといって決して孤独なのではなく、大勢の人の中にいるにもかかわらず、理解できないこと、通じ合えないことから孤独を強く感じる、ということです。
孤独を主体的に選択することを理解しつつ、私たち介護福祉職には、消極的な孤独者や孤立者を一人も出さない心理的サポートが求められるのではないかと思います。孤独はどこにあるのでしょう。さあ、今日も秋の夜長、何をして過ごしますか。誰のことを思い過ごしますか。
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